「公共のかつぎ手づくり」事業を行った背景
公共施設を民間が運営できるようになった
2000年代における小泉内閣の時代、行政のあらゆる分野で「官から民へ」と民営化が進められました。公務員が運営することが当たり前だった公共施設も、民間へと委託されるようになったのです。
公共施設の運営に、民間の力を活用する制度を「指定管理者制度」と言います。この制度が全国に急速に普及していきました。
施設とは縁のない企業が運営を行うことがある
「指定管理者制度」の根底には「公共施設の運営費を少しでも減らしたい」という発想があります。公務員の単価で公共施設のサービスを維持・拡大することは厳しいためです。このため、従来よりも安い人件費で公共施設を運営することが指定管理者には求められています。
結果として、公共施設が提供するサービスとは全く関係のない企業でも、低い入札価格を提示できれば、指定管理者となる事例が全国で相次ぎました。中には、タクシー会社が公共施設の運営を委託されるケースもあります。
思い入れがない人が運営しても良いサービスを期待できない
「指定管理者制度」ができる前は、公務員が業務として公共施設の運営を行なっていました。施設の運営者は、必ずしも提供するサービスに思い入れがあるわけではありません。「過去にスポーツで活躍した人」が体育館を運営し、「文化に精通した人」が図書館の業務に携わっている訳ではないのです。
このような状況では、公共施設に高いレベルのサービスを求めたり、きめ細やかな対応を期待することは難しいでしょう。